<敢えて、エビデンスではなく、院長の雑感>
ダイエット外来を受診される患者さんは、SNSでマンジャロを知って相談にお見えになることが多いです。良い話も悪い話も、怖い話も、SNSで色んな情報が飛び交いますので、そういった質問を受けることも多いですが、その中でよく聞かれるのが「マンジャロは副作用が怖い」ということです。
そもそも「副作用」とは、本来目的としている薬の効果である「主作用」の対義語です。つまり、一つのお薬の成分は人体に対して様々な効果を与えるわけで、その薬剤で狙った効果が主作用であり、それ以外は副作用となります。
日本におけるマンジャロは2型糖尿病のお薬としての許認可を受けています。したがって、マンジャロの主作用は血糖値を改善させることになります。
では副作用は?
添付文書に示される、代表的な副作用は、悪心(吐き気)、便秘、消化不良、食欲不振、下痢
とされています。マンジャロを使用した経験がある患者さんは、確かにそんな副作用があったなと記憶しておいでの方も多いでしょう。糖尿病治療からみると、これらの副作用の一つに挙げられる「食欲不振」。これは、ダイエットという側面から見ると、この「食欲不振」自体が狙った効果、つまり「主作用」とも言えます。(その意味ではダイエット目的に薬剤を使用して、ついでに血糖値が改善されたら、それは副作用で血糖値が良くなったと言えますね。)
マンジャロを使ったダイエット治療の副作用として、個人差はありますが吐き気や便通の乱れ十分起こりうることだと思っておいてください。ただし、大半は想像しているほど強い副作用ではなく、日常生活に支障をきたすケースはかなり少ないです。
念の為注意すべきは、これらの副作用以外で、めったに無いけど重篤な有害事象として挙げられているのが
アナフィラキー、血管性浮腫、腸閉塞、急性膵炎、糖尿病性網膜症
が挙げられています。無論これらは滅多に起こるわけではありません。むしろ、本当に因果関係があるのかも不明瞭なものも含まれます。しかし、万が一これらが発症した場合にはその方の身体に大きな悪影響があり、迅速な対応が求められますので、直ちに受診していただかねばなりません。
とは言え、こういっためったに無いけど大きな有害事象というのは、なにもマンジャロに限った話ではありません。今お使いの他のお薬があったら調べてみてください。ほとんどのお薬に注意すべき重篤な副作用が存在し、だからこそ医師と相談しながら安全に使うという意味においてマンジャロも他のお薬と何ら違いはありません。マンジャロがドラッグストアで気軽に買えるものではなく、医療機関での処方薬として存在しているのも、医師の慎重な観察のもとで治療を受けることが重要だからだとも言えます。当院でも治療は慎重に、できるだけ少ない薬剤での治療を常に意識しています。