そもそも糖尿病って、実際何が問題なの?
糖尿病って、結局何が問題なのかって、どう思いますか?
「糖尿病って、結局何が問題なのか、どう思いますか?」
糖尿病を心配して当院を受診する患者さんに対して、私がいつも最初にお聞きする質問です。
糖尿病と聞いて、どんなイメージが湧きますか?
そもそも糖尿病ってどんな問題があるんでしょうか?
糖尿病は、3500年前にはすでに知られている病気だったと言われています。しかも、元々は「のどの渇き、大量の尿を伴いつつ、痩せ細っていく病」として捉えられていました。
常にのどが渇き、飲めども飲めども、ただおしっごが増えるだけ。のどの渇きは癒えずに痩せ細っていく。それが大昔の糖尿病の患者像でした。
では、現代ではどうでしょう?
甘いものの食べ過ぎ、食生活の不摂生、肥満と言ったものが糖尿病患者のイメージではないでしょうか?
様々な治療の選択肢がある現代において、口渇、多飲、多尿や痩せ細っていくといった体調の変化はかなり稀であり、むしろ自覚症状が無い中で、血糖値が高い状態が続いた結果、目が見えなくなる、手足が痺れる、足を切断するといったイメージをお持ちの方が多いようです。
では、糖尿病って、一体どんな病気で、何が問題なのでしょうか?
血糖値が高いとか、インスリンが少ないとか、色々と病気の仕組みはありますが、今回はむしろ、糖尿病という病気が実際にどんな問題を起こすのかにちて考えてみましょう。
糖尿病の「三大合併症」
ここから先は、私の独断も混ざってしまうのですが、まず一般に糖尿病の「三大合併症」と呼ばれるものがあります。
糖尿病性網膜症
高血糖の持続により、目の毛細血管が障害を受け、血流障害、出血などを生じて視力低下や失明を招く
糖尿病性腎症
腎臓の血管が障害を受けることで、腎臓本来の機能である「おしっこを作る」ことができなくなる。おしっこは、水分バランスの調整や、体の老廃物や毒物の排出のために作られるので、それができなくなった腎不全状態になってしまうと、血管から触接血液を体外に出して、機械によって老廃物を除去したり水分量をコントロールする「血液透析」が必要となります。通常血液透析は2日に1回病院に通院して4時間程度行います。
糖尿病性神経症
高血糖により体の神経が障害を受けます。その結果痛みの感覚が鈍ったり、しびれ症状が出たりします。神経症を合併した患者さんに聞くと、24時間絶え間なく手足がジンジンと痺れている状態は本当に不快でなった人にしかわからない辛さがあるそうです。また感覚が鈍いためちょっとした傷が悪化していることに気づきにくかったり、血流障害を伴って傷が治りにくく壊疽(えそ)という状態に陥ってしまい、切断が必要となる場合もあります。
動脈硬化性疾患
これら糖尿病の三大合併症以外にも、高血圧症や脂質異常症といった生活習慣病でも言われる動脈硬化を進行させるため、血管が細く、もろくなる。その結果脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞などの発症リスクが高くなります。
もちろん、細かなことを言えば他にも色々とありますが、これら、代表的な合併症が発症することなく、天寿を全うすることが糖尿病治療の目的と言えます。
当院が考える糖尿病治療の目的とは?
ただし、果たして、それだけが糖尿病治療の目的なのかな?と私は考えてしまいます。
仮に、一生懸命食事制限をしたり栄養管理もして、食べたいものも控えて何十年を生き、そしてこれらの合併症を起こすことなく100歳まで生きたとして、それは幸福だったと言えるのでしょうか?
食べたいもを食べて、やりたいこともやりつつ、(もちろん、そこは限度もありますし、程よいバランスは必要ですが)、その上で100歳まで生きる。つまり、日々の生活や人生として自分の納得のいく時間であることもとても大切なわけです。そう考えると、例えば、ある程度好きなものも食べるし、ある程度食事や運動に気もつかう。毎日も楽しく過ごしながら、合併症を起こさずに、天寿を全うする。厳密に言うと糖尿病の治療目的はこうなると思うわけです。
ですから、私は、ある程度血糖コントロールが安定したら、「今まで控えていて、でも本当は食べたいものがありますか?」「今まで取り組んでいて、でも本当は嫌で嫌でしょうがないことありますか?」ということをお尋ねします。そして想いをいかに実現できるかを一緒に考えて治療プランを修正していきます。
現代は、本当に糖尿病治療の選択肢が増えていますので、こういった患者さん一人ひとりの想いを実現しやすい環境が整いつつあります。病気があっても、病気がなくても、同じく幸せな人生。場合によっては病気があるお陰で、むしろもっと良い人生。そんなことが実現できれば良いなと思いながら日々の診療に従事しています。
もし何か質問や悩みがあればいつでもご相談ください。一緒により良い方法を考えましょう。
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当院は都庁もある新宿区西新宿エリア、オフィス街にあるクリニックです。働く現役世代の方が通いやすい立地で、お昼休憩なしで診療しています。働くみなさんにとって、利用しやすいクリニックとして一般的な内科診療、糖尿病治療のみならず、生活習慣病全般、発熱・インフルエンザ・コロナ感染症、花粉症、自由診療によるダイエット外来やビタミン注射など幅広く対応しています。まずはお気軽にご相談ください。